アジャイルだけじゃない JIRA Software : WBS ガントチャート for JIRA

今回は、アトラシアン のプラチナ ソリューション パートナーで WBS Gantt-Chart for JIRA を開発している リックソフト株式会社 の樋口晃さんによる ガントチャート形式による JIRA Software を使ったプロジェクト管理に関する情報を 2 回にわたってご紹介します。(前回の記事はこちら)アトラシアンでは、ブログを寄稿してくれる方を募集しています!ご興味のある方は是非 japan-marketing@altassian.com (担当:犬山) までお問い合わせください。

お客様のご要望から生まれました!- 開発の背景

私達が JIRA Software (当時は JIRA ) の販売を始めた頃、「ガントチャートが欲しい」という要望を多くのお客様から頂きました。 JIRA にはアジャイル用の優れたインタフェースは当時から有ったのですが、プロジェクト管理者がウォーターフォール的な視点でプロジェクト全体を俯瞰するビューは有りませんでした。 ならば自社開発で!と行きたい所だったのですが、当時のリックソフトの限られたリソースではガントチャートを一から開発する事は難しく、「いつか開発しましょう」 という事になりました。

そんな時、 あるお客様にガントチャート機能を提案する機会が訪れました。提案までの期限は 2 週間しかありませんでした。2週間で実現可能性の判定をする事は難しかったのですが、素晴らしい JavaScript のガントチャート描画ライブラリを利用する事で 短期間で JIRA 上でデモを実演して、提案する事ができました。さらに詳しい経緯についてはこちらのブログに記載しております。

WBSガントチャートが生まれた背景と利用した技術、そしてAtlassian Add-onビジネス

JIRA Software に新たなパワーを

次に、WBS ガントチャート for JIRA  を導入する事で期待される効果について紹介します。

一番大きな、機能は以下の2つです。

  • プロジェクトのタスクを階層構造で管理できる 「WBSビュー」
  • タスクの予定をビジュアルに、依存関係付きで表示できる「ガントチャートビュー」 

この2つの機能で、今までの JIRA Software には不足していた、プロジェクト管理者向けのビューを提供する事ができます。

導入で期待される効果は、以下の3つです。

  • プロジェクトのスケジュールを視覚的に作成 / 変更 / 確認できる。
  • クリティカルパスやベースラインなどの機能を使って、プロジェクト全体の終了見込みや進捗を確認できる。
  • メンバーの作業を負荷を想定しながら、スケジュールを作成できる。

では、具体的な機能を紹介していきます。

プロジェクト開始時の作業

プロジェクト計画時は、WBS ガントチャート上でスケジュールを作成します。WBS ビューで必要な作業をブレークダウンして作業タスクを作成していきます。作業タスクができたら、日数、開始日、終了日を登録して入スケジュールを作成します。先行作業と後続の作業をリンクさせる事ができますので、これを設定しておくと、あるタスクのスケジュールを変更した時にリンクしているタスのスケジュールが自動的に更新されるので、便利です。

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スケジュールができたたら、担当者を割り当て手作業負荷を確認します。 下記の様に負荷が100% を超えている場合は、調整が必要になります。

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実際にはこれらの作業を繰り返し、検討を繰り返して行くことになります。スケジュールが出来上がったら、最後に「ベースライン作成」を実施して、プロジェクト開始時の予定を記録しておきます。

Excelでのスケジュール作成に慣れている人にとっては、スケジュールをWEBインタフェースで作成する事には抵抗があるかも知れません。JIRAには、CSV インポートの機能が有りますので、Excelでデータを作成し、CSVファイルを作成してインポートする事もできます。

ご参考:WBSガントチャート用に親子関係付きでCSVデータをJIRAにインポートするには

プロジェクト期間中

上記の「プロジェクト計画時の作業」だけを見ると、Excelでやった方が良いなあと思う人がいるかも知れません。しかしながら、プロジェクト期間中は、前回の Blog で JIRA Software 導入効果としてあげた

  • 各メンバーがデータを更新するので、プロジェクト管理者は、「課題管理表」や「進捗管理表」といった管理資料の作業負荷を減らす事ができる。

という効果が期待できます。各メンバーが課題の「進捗」と「ステータス」を更新する事で、WBSガントチャート は更新されます。プロジェクト管理者は、「遅れているタスクの確認」 と 「スケジュール、リソースの調整」という本来のプロジェクト管理の業務に注力する事ができます。

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プロジェクトは予定通りに行くことは、まずありません。プロジェクトの期間を通じて、スケジュールやリソース割り当ての見直しと修正が必要になります。プロジェクトが大きくなればなるほど、進捗資料の更新は大変になるので、実際の進捗状況と進捗資料は乖離は大きくなってしまいます。そのような状況では、作業の遅れなどの対応が遅れてしまいがちですが、WBSガントチャート for JIRA と JIRA Software を活用する事で進捗情報のスムーズな共有が進み、対応も迅速にできるようになります。

スケジュールを調整する場合は、作成時と同様に「先行」と「後続」のタスクを連携しておくことで、一つのタスクを動かすと関連するタスクのスケジュールも自動的に調整されます。この機能を利用すると、特定のタスクの遅れが全体にどの様な影響を与えるかという事を確認する事ができます。プロジェクトのクリティカルパスを表示する機能も有りますので、全体の遅れに影響するタスクと、全体には影響が無い調整可能なタスクを判定する事ができます。

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WBSガントチャート for JIRA を利用すると、WEBインタフェースで、プロジェクトのスケジュールと進捗をチーム内で共有する事ができます。しかしながら、実際の業務ではチーム外部の方に進捗報告が必要になると思います。そんなニーズのために、WBSガントチャート for JIRA には、情報をExcelファイルに出力する機能が有ります。この機能を利用すれば、外部の方向けにExcelの進捗報告資料を作成する事ができますので、資料作成にかける時間を節約できると思います。

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最後に

WBSガントチャート for JIRA は、ユーザーのご要望にお応えするために開発しました。リックソフトは今後も、ユーザーのご要望を大切にしていきます。JIRA Software, WBS ガントチャート for JIRA の評価版は、無償で30日間全ての機能をテストする事ができます。プロジェクト管理でお困りな方は、ぜひお試し下さい。

WBS ガントチャートを試す

樋口 晃 さん (リックソフト株式会社)

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1990年代よりSI会社でシステム開発。メインフレーム、パソコン、WEBアプリなどなどの開発に関わる。プロジェクトチームで情報共有、進捗管理、課題管理、構成管理、ビルド管理の効率の悪さと大変さを何とかしたいと思っていたところで Atlassian製品に出会い、2009年より Ricksoft で Atlassian 製品の担当になる。以来、JIRA / Confluence にどっぷり浸かる毎日。