アジャイルマーケティング:一時的な流行か、それとも未来のマーケティングか | Atlassian Blogs

Agile Marketing, Building Endurance for your Content Marketing Efforts

情報源: Agile marketing: fad or future of marketing? | Atlassian Blogs

特にソーシャルメディアやコンテンツ、デジタルのマーケティングテクノロジーにより変革がもたらされて以来、マーケターは素早く機敏に仕事をする方法を常に探っています。数か月かけて計画した静的なキャンペーンを実行していた時代は終わりました。

顧客からのフィードバックが絶え間なく送られてくる今の時代、マーケターには、デジタルメディアやソーシャルメディアのトレンドに基づいて計画を調整する能力が必須です。そしてさらに、マーケティングのプロジェクト管理を向上させる手段が必要となります。こういったことから、アジャイルマーケティングや、「スクラム」や「カンバン」といった枠組みに多くの注目が集まっているのです。

今日のマーケターの現実とは、実験的なキャンペーンを実施し、フィードバックを回収し、それを繰り返し、勝てるコンセプトを構築することである

アジャイルの手法はソフトウェア開発の世界でよく見られます。ここ10年間でウォーターフォール型(大規模なローンチ)からアジャイル型(小規模な小出しのリリース)へと移行し、大規模なローンチでヒットを生むよりも、顧客から即座に学べるという恩恵を直接受けています。

アジャイル型のプロジェクト管理により、チームは生産性や透明性、生産高を上げることができますが、これらの要素や情報がなければうまくトラッキングすることができません。しかし製品開発に使われているアジャイル手法が、マーケターがキャンペーンを実行するのに本当に役に立つのでしょうか? 私たちの答えは「イエス」です。

そもそも、アジャイル手法とは?

「アジャイル」とは、連続的なリリースに重点を置いたプロジェクト管理の反復アプローチであり、顧客のフィードバックをすべてのこの反復過程に組み込んでいます。トヨタが1940年代に編み出した無駄のない生産コンセプトから派生したこの手法は、絶えず変化し続ける顧客ニーズに素早く対応しながら、チーム全体で無駄を省き、透明性を高めるために採用されました。

従来のアジャイルには2つの主要な考え方、すなわち枠組みがありますが、それは「スクラム」と「カンバン」です。スクラム方式の場合は、「スプリント」と呼ばれる固定期間の反復作業によりプロジェクトが管理されます。スクラムが固定期間の反復に特化しているのに対して、カンバン方式は連続的なリリースに特徴があります。カンバン方式では、プロジェクトもしくはタスク(「ストーリー」とも言う)が完了するとローンチされ、チームは次のストーリーに取りかかります。

アジャイルマーケティングにおけるスクラム

スクラム方式におけるプロジェクト管理の基本枠組みには、「スプリント計画」や「デイリースクラム」(「スタンドアップ」とも言う)、「スプリントレビュー」、「スプリント振り返り」が含まれます。主なポイントは固定期間内に作業を完了させることであり、それはチームによって異なります。マーケターの多くは1週間のスプリントが理想的だと述べていますが、ソフトウェア開発においては2週間が標準となっているようです。

スプリント計画:

直近のスプリント(固定期間、通常12週間)中に完了すべき作業について決定するためのチームの計画ミーティング。その時間枠で実行可能なものに基づいて作業を選択する。「バックログ」とも呼ばれる「やることリスト」の大枠を用い、バックログから取り出した次の優先事項を次回のスプリントに入れる。

デイリースクラムまたはスタンドアップ:

15分間の小ミーティングで、スプリントの進捗状況や障害についてチームで議論する。

スプリントレビューまたはデモ:

スプリント終了時に、メンバーが完了・実行した作業を共有するためのチームミーティング。チーム全体で透明性を高めるのに役立つ。

スプリント振り返り:

チームメンバーが、そのスプリントでうまくいったことやそうでないことを特定するためのセレモニー(ミーティングやレポートの形式)。想定が現実にどれだけ近かったかを振り返る場でもある。

スクラム方式を使用するアジャイルマーケターは、それがコンテンツやプロダクション形式のマーケティングと相性が良いことを理解しています。そのようなマーケティングではプロジェクトは有限であり、条件がシンプルに定義でき、スプリントの最後には納品することができるためです。しかしながらマーケティングにおけるスクラムでは、キャンペーン全体を一気に納品することはできず、ウェブページのデザインのようなキャンペーンの一部のみが可能であることに注意する必要があります。

Gliffyで以前マーケティング責任者を務めていたマーク・ゴペズは早くにスクラムを取り入れ、自身のチームでスクラム管理を実行しました。彼らのストーリーすなわちプロジェクトは、ランディングページの試行から、ウェブサイトコンテンツの変更やEメールドリップキャンペーン、そして雇用にまで及んでいます。例としてランディングページの試行においては、マークのスプリント計画ミーティングにより、ウェブページの条件や、クリエイティブリソースとデザインリソース、タスクドライバー、仮定(その時点のトレンドに基づいて、ランディングページで達成できそうなこと)が特定されています。

スプリントの期間中、マークのチームでは15分間の小ミーティングを開き、完了済みの作業やこれから要する作業、誰が誰に連絡する必要があるかを話し合います。問題や障害があればそれを特定する機会でもあります。スプリントの最後には、ソフトウェアチームを含むすべてのチームに対して成果を発表し、最新状況を全員で共有します。そして仕上げとしてスプリント振り返りを行います。これにより、チームは実行したプロセスやプロジェクトの改善を継続して行うことができます。

Gliffyがマーケティングプロジェクトで使用したアジャイルのワークフローを以下に示します。1回のスプリントで1つのストーリーが検証・展開され、次回のスプリントの展開フェーズで実行チームに受け継がれているのが分かります。

このプロセスにおいて、Gliffyのマーケティングチームはミーティングに費やす時間を削減できただけでなく、障害を取り除き、納品に集中することができました。スクラムによってプロジェクトに対するチームの視界が向上し、プロジェクト管理の期待値を正確に設定することができた、とマークは考えています。

「スクラムにより、私のチームは部署を横断して、また上層部とも効果的にコミュニケーションをとることができます。マーケティングからの連絡事項は透明性に欠け、マーケティングが取り組んでいることやそこから期待すべきことが分かりにくいことが多々あります。スクラム方式では、自分たちのスプリントの内容や、ストーリー/タスクの完了について全員が知ることができます。期待値の設定は個人や部署、会社の成功にとって非常に重要です。これまで評価が難しかった要素について、スクラムのおかげで予測や測定が容易になりました。」

アジャイル型のマーケティングプロセスを支援するため、多くの人々がプロジェクト管理のテクノロジーに頼っています。例えばアジャイルマーケティングのチームがスプリントについて計画している作業を視覚化するのに、JIRAのボードが大いに役に立ちます。「Agile Marketing, Building Endurance for your Content Marketing Efforts」の著者であるジェフ・ジュリアンが使用しているJIRAボードの例を以下に示します。ここではチームの誰もが、個々のメンバーについてスプリント期間中の進捗具合やタスクを確認することができます。

JIRAのタスクは、チームがストーリー/プロジェクトを定義するのにも役立ちます。ジェフはコンテンツ管理にアジャイルマーケティングを使用することを推奨しています。彼はJIRAタスクを使用して、ストーリー/プロジェクトをペルソナにマッピングし、そのペルソナで喚起しようとしている感情や実施要請、推定時間といった要素をスプリントの計画中に説明できるようにしています。

アジャイルマーケティングにおけるカンバン

マーケティングにおけるカンバン方式の場合にも、プロジェクト管理のための主な要素が4つあります。

タスクのリスト(もしくはストーリー):

「ストーリー」とは、顧客に何らかの価値を提供する目的や目標、ペルソナなどを含んだマーケティングのタスクを言う。

コラムまたはレーン

カンバンボードは作業の視覚化を助けるツール。ボードにおけるコラムやレーンは、異なる作業工程やユーザー、プロジェクトなどからタスクを区別するのに使われる。タスクの状態によってラベルが付けられ、例えばあるコラムを「To Do」と名付け、作業の準備が整ったストーリーすべてをそのコラムの下に置くことができる。

作業中(WIP)制限:

チームの能力に基づいて作業量を制限するためのルール。例えば2人のチームの場合、「In Progress」のコラムに一度に5つより多いストーリーを置くことはできない。これがWIP制限である。スプリント/時間枠にタスクを合わせるスクラムとの大きな違いの1つ。カンバン方式ではチームの能力に合わせる。

継続的リリース:

「リリース」とはタスクの納品のこと。チームは、合意済みのWIP制限を満たすストーリーの量に達するまで作業を行い、完了後はすぐに次に移行する。

現在、アジャイルマーケティングのチームにおいてはスクラム方式が優勢のようですが、既存のプロセスにアジャイルマーケティングを導入するにはカンバン方式の方が適していることもあります。注意すべきポイントは、スクラムは固定期間で稼働しており、その期間で何らかの成果を出さなくてはならないということです。多くの場合、プロジェクトをすべて完了させるには複数のスプリントが必要となります。これに対しマーケティングにおけるカンバン方式では、スプリントはなく、完成後すぐにプロジェクトをリリースすることができます。

この方式は特に、作業を時間枠に収めることができないデザインやUXなどのマーケティングチームにとっては有効かもしれません。Atlassianの製品マーケティングチームもカンバン方式のボードを使用しています。(スクラム方式で見られるような)取り組んでいないタスクすべてのバックログの代わりに、ワークフローで必要な作業を確認し、今どこにいるかを知ることができます。

私のチームでは測定結果を良くするために毎週スタンドアップを追加していますが、これは通常のカンバン方式の管理原則ではありません。マーケティングにおけるカンバン方式では、スクラム方式とは違い決まった役割はありません。タスクやプロジェクトの周囲にチームが形成され、完了を目指して正しい人員を集めるためのプロジェクトドライバーが設置されます。

すべてのためのアジャイル

マーク・ゴペズは、マーケティングチームにスクラムを適用してからわずか半年で、ストーリーの完了数を3倍にすることができたと述べています。さらに、同じ手法やスプリントの予定、ツール、プロジェクト管理に関する言語を共有することができたため、製品チームとマーケティングチームの距離を縮めることができました。GliffySaaS開発マネジャーを務めるザック・プロスペシーは、アジャイルの実践を共有することでマーケティング部門と最高の関係が築けたと言います。

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クリエイティブなプロセスを維持しながらハイペースな要求に応えるため、マーケターは新たなプロジェクト管理の手法を積極的に探しています。開発チームとのコミュニケーションを向上させるためにアジャイルマーケティングの試行を検討している場合であろうと、単に生産性を上げる目的であろうと、マーケティングプロジェクトへのアジャイルの原則適用についてはまだまだ学習の余地があります。しかしアジャイルマーケティングが自分のチームに適しているかどうかを知るには、実際に試してみるしかありません。それが賢明な選択となることもあるでしょう。

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