私がアトラシアンに初のエンジニアリング プログラムマネージャーとして入社した 2008 年当時、「プロジェクトマネジメント」はまれにしか耳にしない言葉で、「プログラムマネジメント」は全然耳にしない言葉でした。現在、当社には少数のプロジェクトマネージャーとプログラムマネージャーがいます。それは、毎月集まってあらゆる議題や プロジェクトマネジメント について、そしてこのキャリアパスに興味を示すスタッフの安定したフローについて共有と議論を行う小さなグループです。ここでは プロジェクトマネジメント を成功させるためにアトラシアン用に作成した資料を紹介します。皆様のお役に立てれば幸いです。
プロジェクトマネージャーは何をするのか?
プロジェクトマネージャーは、オーケストラの指揮者に似ています。この場合、オーケストラは、プロジェクトの仕事に取り組むチームです。プロジェクトマネージャーが楽器を手にして演奏することは、普通はありません。なぜなら、チームを調整してプロジェクトを最初から最後までうまく機能させることが主な仕事だからです。プロジェクトマネージャーには、以下に対する責任があります。
- プロジェクト全体を通したチームの成果
- プロジェクトの中間および最終成果物
- そして最も重要な顧客満足度 (さらに理想を言うと歓喜させること!)。エンドユーザー、内部顧客、利害関係者、プロジェクトチーム自体も同様。
プロジェクトマネージャーがプロジェクトで請け負うこと:
- 明確な目的ときちんと理解した要件 (あるいは要件の進展を反復する達成可能な計画) を持って幸先の良いスタートを切る
- 計画的かつ管理的に遂行する
- 障害に対処できる
- 管理の範囲内およびそれ以外の状況での変化に対応できる
- 目的を全て達成する
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトチームにおけるコミュニケーションの中心です。また、出資者、経営陣、内部顧客、プロジェクトに関連する他のチーム、そして他の関係者など、全ての利害関係者の中心でもあります。
プロジェクトマネージャーは、さまざまなツールやプロセスを利用します。例えば、プランニングやスケジューリング用ソフトウェア (JIRA Agile ラピッドボード、OmniPlan、Gliffy Diagrams、シンプルな表やスプレッドシート、アトラシアンでは希ですが Microsoft Project)、計画会議 (JIRA Agile)、状況報告、リスクワークショップ、リスクレジスター、レトロスペクティブ (すべて Confluence 上で非常に簡単に作れます)、そしてもちろん 課題追跡ソフトウェア (JIRA と JIRA Agile) などです。
また、プロジェクトマネージャーは、今後のタスクや成果物の確認、それらの遅れの管理に多大な時間を費やします。このような役割を担う上で、感じの良い小言屋になるスキルは重要です!
素晴らしいプロジェクトマネージャーになるには?
この業界の権威の一人、ジェームズ・ブラウン博士は、このように予想しています – 詳しくはこちら。成功の要因トップ 10 は次の通りです:
- 非常に明確で、単一の責任を確立する (タスク、リスク、課題、仮定などのすべてに対して)
- 関係を構築する人間になる
- チームや利害関係者からしっかりと献身してもらう
- 自分自身やチームが過度に献身することを避ける
- 優先順位の付け方を理解し、すべてに優先順位を付ける
- 目的や目標、要件は、SMART、つまり、具体的 (Specific)、計測可能 (Measurable)、達成可能 (Agreed upon)、現実的 (Realistic)、期限が明確 (Time constrained
) にする - 課題や問題を特定し迅速に解決するためのプロセスを持つ
- 影響するすべての範囲に対して、完全なリスクの詳細を記述し要求する
- 計画の限界を理解しそれに応じて計画を立てる
- うまく見届ける方法を理解する
この技能の基礎
アトラシアンでは皆アジャイルに頼っていますが、あなたは完璧を目指す前に基礎を学ぶことで、さらに優秀なプロジェクトマネージャーになるでしょう。選択する方法論はそれほど重要ではなく、それをどのように適用するかが重要になります。
プロジェクトマネジメント協会 (PMI) では、プロジェクトマネジメント知識体系ガイド (PMBOK) と呼ばれる、非常にドライで包括的なガイドを並べています。PMBOK は、5 個の「プロセスグループ」と 10 個の「知識エリア」をまとめています。
- プロセスグループ: 立ち上げ、計算、実行、監視コントロール、終結
- 知識エリア: 総合、スコープ、タイム、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、リスク、調達、ステークホルダー
現在 PMBOK を一生懸命覚えている方や、代わりに PRINCE2 方法論を学んでいる方でなければ、以下で推奨する本を手始めに一冊以上読んで下さい。
アジャイルになる
アトラシアンはアジャイルな会社です。素速く動き、頻繁に方向性を変えるため、アジャイルな プロジェクトマネジメント テクニックが当社にうまく合っています。基礎をしっかりと修得したら、アジャイル プロジェクトマネジメント のスキルと慣習に集中してください。
- アジャイルソフトウェア開発の起源をこちらでご覧下さい
- アトラシアンがアジャイルで仕事をする方法の概要をご覧下さい
- ウェビナーをご視聴頂き、ブログや以下で挙げる本をいくつかご覧下さい
- お近くのプロジェクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーに、アジャイル プロジェクトマネジメント をどのように実行しているのか聞いて下さい。そして、計画会議やレトロスペクティブ (ふりかえり) に参加可能か聞いて下さい
- 会社に プロジェクトマネジメント の社内研修の有無を確認するか、以下の研修の章をご覧下さい
お勧めの動画
- Agile Training が提供する役に立つウェビナー:
お勧めのブログ
お勧めの本
基礎
- スティーブ・マコネル – ラピッドデベロップメント
- スティーブ・マコネル – ソフトウェア見積り – 人月の謎を解き明かす
- トム・デマルコ – ピープルウエア: Productive Projects and Teams
- フレデリック・ブルックス– 人月の神話
アジャイル
- マイク・コーン – アジャイルな見積りと計画づくり
- ケン・シュエイバー – スクラム入門 アジャイルプロジェクトマネジメント
- クレーグ・ラーマン – アジャイル & イテレーティブデベロップメント
- ジム・ハイスミス – アジャイルプロジェクトマネジメント
研修
基礎
- PMBOK に基づく試験を学習し受講することで、PMI からプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル (PMP) の認定を受けることができます (中央のパネルをご覧下さい)。PMP を受ける方は、優れた参考書としてこちらの本をご利用下さい。
- イギリス政府発祥の PRINCE2 は、PMBOK フレームワークの代替として利用できます
アジャイル
- Scrum は、アジャイルデベロップメントの 1 つの慣習で、アトラシアンでもいくつかのチームが利用しています。Certified Scrum Master になることが可能です。
- agiletraining.com (アメリカ) では、アジャイル プロジェクトマネジメント などのさまざまなアジャイルコースを提供しています。
- www.softed.com でも、さまざまなアジャイルコースを提供しています (オーストラリア)。
- PMI では、Agile Certified Practioner を提供しています。
アトラシアンのテンプレート
最近まで、何かのテンプレートという考え方は、アトラシアンでは馬鹿げた話のように思われていました。当社はスタートアップです! (大きくて健全で、11 年目のスタートアップです)。幸いにも、通常当社のエンジニアリングチームは今でも、ユーザーストーリー、計画会議、イテレーション、かんばんボード、レトロスペクティブなどの従来のアジャイルツールを使用して製品の提供を行っています。しかし当社は現在、複数の部門にまたがるプロジェクトも定期的に請け負っており、一緒に仕事をしたことがない人たちや、これまでに使ったことがないスタッフによるチームで作業をしています。このようなプロジェクトにとって、チームの仕事を促進してすばやく機能させるために、簡単に入手できるシンプルなテンプレートのセットが有効であると見ています。当社で最も良く使用しているテンプレートをここに紹介します。ファイルは PDF で添付します。
(これらは Confluence にある原版からエクスポートしたものです。Confluence では、それぞれ綺麗な形式の単一ページとして表示されます。
Confluence を使用されていない方は、各テンプレートのコンテンツを再入手したくなるかもしれません。そのため最も重要な情報は上部に配置し、プロジェクト計画のような文書は可能であれば単一ページで作成します)。当社は、初期段階から利用できるように現在でもこれらのテンプレートを改善しています。また、皆様のご意見を有り難く頂戴致します。
キャリアパス
すでに プロジェクトマネジメント の役割を担っている方は、今のキャリアにおける次のステップについて疑問に思っているかもしれません。1 つの道として考えられるのは、プログラムおよびポートフォリオマネジメントという道です。
プログラム: プロジェクトを個別に管理しても得られないメリットを得るために、1 つにまとめられたプロジェクトのグループ。広い範囲を持ち、期待される利益に合うように変更される可能性もある。
ポートフォリオ: 「プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントが「仕事を適切に行う」ための規律だとすれば、ポートフォリオマネジメントは「適切な仕事を行う」ための規律です。ポートフォリオマネージャーは、プロジェクトやプログラム、そして戦略的な事業目的に合わせてまとめられた仕事などを監督します」 (出典)
さらに詳しい情報をお求めの方は、以下のリソースをご覧下さい。
ウェビナー
- Agile Training が提供する以下のウェビナーがあります:
ブログ
- グレッグ・ギセンのブログの 一流の戦略的イニシアティブ と 戦略的シンキングコーチ
- エキスパートプログラムマネージャーブログ
- アジャイル 101 ブログ
本
- ジェームズ・ブラウン – The Handbook of Program Management
- ジョアンナ・ロスマン – Manage Your Project Portfolio
- サイモン・ムーア – Strategic Project Portfolio Management
- アナンド・サンワル – Optimising Corporate Portfolio Management
- PMI の The Standard for Program Management と The Standard for Portfolio Management (どちらも こちらのサイト)
- ヨッヘン・クレブス – Agile Portfolio Management
- ディーン・レフィングウェル – アジャイル開発の本質とスケールアップ
このガイドがお役に立てれば幸いです。あなたの今後のプロジェクトがうまくいきますように!
さらに詳しくは、atlassian.com/agile をご覧頂いたり、Twitter で @ChetRong をフォローして下さい!(ただし、世界最悪のアジャイルコーチなので、アドバイスには従わないでください、、、)
*本ブログは Atlassian Blogs の翻訳です。本文中の日時などは投稿当時のものですのでご了承ください。
*原文 : 2013 年 9 月 3 日投稿 "How we do project management at Atlassian"