(事例) 適切なアクセス管理によりWikiで社内情報共有を実現したISID

Thumbnail image for SeanProfile.png*2010 年 11 月 8 日 Sean Osawa 投稿

本日は株式会社電通国際情報サービス (以下、ISID) のビジネスイノベーション本部 営業統括室 杉浦直樹様、コミュニケーションIT事業部 中山留理子様、ビジネスソリューション事業部 金藍洋様、開発技術センター 橋詰英輝様にお話を伺いました。杉浦様は、2009年度まで新規事業開発を行う部署におり、その時に社内 Wiki として Confluence (コンフルエンス) を導入しました。現在は全社横断の営業を統括する部署におり、社内情報の共有、社内活性化策の推進などを担当しています。(下記写真、左から中山氏、橋詰氏、杉浦氏、金氏)

社内 Wiki 導入の経緯を教えてください

ISID-EveryonePic.png杉浦氏 (以下、特に記載のないものは杉浦氏): まず2008年度、社内辞書を作れという指示がトップダウンでありました。IT業界の中でも弊社はアプリケーションに強いのが特長ですが、反面、それぞれの事業部・部署が専門特化しているため、他部署のことがよく分からないという弊害もありました。

元々、弊社では先行して JIRA を使用しており、同じ Atlassian 社の製品である Confluence の存在は知っておりました。MediaWikiなどのオープンソース、他の商用WikiソフトウェアやSaaSもありましたが、日本での事業継続性、セキュリティ機能の有無を考えると、最初からConfluence以外の選択肢はありませんでした。実際、Confluence以外の商用Wikiはその後全て日本から消滅・撤退しました。

2008年度末に約30名でパイロット利用し、2009年度に入って全社システムとしての投資判断を行い、6月には全社員用ライセンスを購入、8月1日には全社リリースしました。現在では2事業部、3本部6部署で使われています。また、ISIDのiと、ナレッジマネジメントにおける場”place”を掛け合わせて、iplace(アイプレイス)と命名しました。なお社内クラウド環境上に構築しているため、iplace用のハードウェアの購入、ハードウェア保守は一切行っていません。

どのような使われ方をしていますか?

社内辞書というトップダウンの指示だったのですが、Wikipediaのような辞書だけを作っても意味はないと考え、包括的な全社ナレッジ共有システムとして位置づけました。主な用途は、社内辞書以外にも、セミナー受講報告、Q&AとFAQ、社内サービスの情報提供、プロセス・定型文書の提示、オンラインのコラボレーション、コミュニティ、個人利用等です。Confluence以外にもグループウェアの掲示板がありますが、どちらかというと情報通達用で、前述のような用途では使っていません。iplaceはどちらかというと同報電子メール送信の代替と言えます。

また、以前は別のナレッジマネジメントシステムがありましたが、推進体制がなく利用が広がらなかったこと、保守費が高かったこともあり、保守契約を打ち切り、クラウドのインスタンスとしてバックアップを取り、ハードウェアも撤去しました。

セミナー受講報告について、もう少し詳しく教えていただけますか?

橋詰氏:iplaceでは文字情報のみならず、画像やEXCELファイル・PDFファイルをページ上に貼り付けたり、外部メディアの表示も簡単にできたりします。セミナー受講報告などのページも従来の掲示板と比べると格段にリッチになりました。例えば、セミナー内容に関連する YouTube の動画をページに表示させることにより、文字だけで伝えるよりも、より多くの人の興味を引くことができます。

当部 (開発技術センター) は全社の技術を統括する部署なので、複数の事業部・部と共有すべき情報の管理にもiplaceを使用しています。議事録や Q & A サイトなどを作成し、メールマガジンからそのサイトへの誘導も行っています。

情報共有に際しアクセス管理は重要ですか?

中山氏: 私の事業部 (コミュニケーション IT 事業部) では暗黙知や、知っておくべき情報をiplaceに掲載するようにしています。その中で、顧客案件情報などをiplaceに掲載し共有する際には、誰にまで見せてよいかという点を考慮する必要があります。そのためアクセス管理の機能が非常に重要です。Confluence はエンタープライズ向けの製品であるため、アクセス管理の機能がしっかりしており、スペース単位やページ単位で細かくアクセス制限を行うことができます。 また、アクセス権がないユーザーには検索結果に表示されませんし、ディレクトリにも表示されません。アクセス権のないページの存在自体が分からないようになっている点も気に入っています。

さらに、インターフェースとしても、ツリー構造での表示により見やすくなっているので、情報の整理に役立っています。

コミュニティでも利用されているそうですが?

ISIDCommunity.png

はい、業務以外での利用も活発です。あげます・探しています、食べどころ情報、書評などのほかに、社内同好会の一つである中国語教室でもiplace を活用しています。
(左画面はコミュニティの画面。食べる、語学、スポーツ、オフラインコミュニティ、情報提供、読書などの情報がある。)

金氏: クラスの開催告知や、クラス終了後のパワーポイントの掲載などを行っています。先日は、クラスで教えた中国語の歌の歌詞を掲載しました。中国の事情や、美味しい中華のお店の情報なども掲載していますよ。

利用状況は把握されていますか?

iplaceの利用状況は定量化してiplace内に提示しています。Confluence のコントリビューターマクロトップユーザーマクロを使っています。利用者・利用部署を把握し、利用の仕方に困っている人がいれば利用方法を教えてあげ、よく使い込んでいる人がいれば、その人の役立ち情報を他の人に知らせています。

その他にも、社内メールマガジンで告知をしたり、希望者に応じて講習会を開いたり、また社内オフ会も行って、利用方法などの情報交換を行っています。Wiki 導入の際のパターン集である Wiki Patterns (ウィキパターンズ) なども参考にしています。

プラグインはお使いですか?

上記以外にもワークフロープラグインをインストールしています。このプラグインを使うと、公開する前に担当者の承認プロセスを入れることができるのです。ワークフロープロセスは、GUIベースで自由に設計することができます。

苦労している点はありますか?

更新情報をどのように見せるべきかが課題です。毎日100件以上の更新があるのですが、ログインしっぱなしの人には全件表示しても全件把握ができるのですが、週に1回しかログインしない人には、更新速度が速すぎて、中で何が起きているかが分かりません。ラベル機能を使って、重要なお知らせのみを切り出す等の工夫も行っていますが、まだまだ改善の余地があります。今後も、ラベル機能を使って、情報の集約表示を行っていこうと思います。

 

isid logo
会社名: 株式会社電通国際情報サービス(略称、ISID)
連結従業員数: 2320名(2010年3月末)
事業内容: コンサルティング・サービス 、ソフトウェア・プロダクト販売/サポート 、システム・インテグレーション・サービス 、アウトソーシング・サービス

アトラシアンへのご要望はありますか?

日本のユーザーコミュニティの活性化をお願いしたいです。Wikiというシステムの特性を考えると、Wikiの利用者・推進者同士も、Wikiを通じて情報交換ができるのではないでしょうか? 日本でのAUG (アトラシアンユーザーグループ) のオーガナイザーも務めていますので、ご興味がある方はぜひご参加ください!個別にも情報交換できますので、アトラシアンさんや代理店の方を通じて、どうぞご連絡下さい。

ISID の皆様、ありがとうございました!
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