情報共有の文化を生む社内ブログの実行方法。APT 社における Confluence 事例

本稿は、長年 Confluence の推進に貢献してきた Applied Predictive Technologies (APT) 社エンジニアリング部門バイスプレジデントのデイブ・パシフィコ氏によるゲスト投稿です。

APT では、Confluence に数多くのブログがあります。とはいえ、以前からそうだったわけではありません。「今後すべてのコミュニケーションをメールの代わりに社内ブログで行います」と、社員全員へ向けて連絡すれば済むというような簡単なことではなく、当社では長い間の紆余曲折の末に会社としてのコラボレーション手段に大幅な改善を実現しました。同様の改善を皆さんが達成できるようにお役に立てれば幸いです。

APTlogo

まず、当社について少し説明させていただきます。APT は米国ワシントン D.C. に本社を置くエンタープライズ ソフトウェア会社です。世界 8 か所のオフィスに約 350 名の社員がいます。製品開発チームの社員は 90 名です。当社は急成長中で、昨年は約 100 名を採用しました。成長するにつれてコミュニケーションと知識共有も拡大し、その中でブログが重要な役割を果たしてきました。現在では社内全体で月平均 75 本のブログ記事が投稿され、投稿数は増加し続けています。

解決したい問題を特定

当社ではメールによるコミュニケーションを社内ブログに置き換えることを検討した時、解決したい主な問題点を特定しました。当社では成長につれて製品開発チームを中心に知識共有が難しくなっていました。当社で見つかった問題点には以下のようなものがありました:

  1. 社員はちょっとした興味深い話題に関してはチーム全体にメールを一斉送信する気にはならない。
  2. 数が増え続ける開発チームの全体で現在起きていることに関する詳細情報を知りたいという希望があった。
  3. チーム全体で行う大規模ミーティングがいくつかあり、ほぼ全員に不評だった。
  4. チームが拡大するにつれてメールの宛先に誰を含めるべきかが不明確になり、主要チームメンバーが抜けることが頻繁に発生した。
  5. 社内に共有情報の記録と新入社員研修用のベストプラクティスがなかった。

当社の社内ブログ初投稿

当社の社風を大改革するという壮大な計画のためにブログの利用を開始した、と言いたいところですが、単にメールを一斉送信せずに面白い話題を共有したかったというのが正直なところです。そこで、Confluence でのブログ作成を試したのです。

「メールを一斉送信せずに面白い話題を共有したかっただけ、というのが正直なところです。」


最初のブログは、当社チームが Web 上で偶然見つけた困惑を引き起こす UX の悪例などを紹介した「UX Fail」ブログでした。このブログの初投稿は私のお気に入りと言えるかもしれません。ダイアログボックスに表示された選択肢の多さを見てください:

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月に 1 本の投稿から 75 本の投稿へ拡大

「UX Fail」ブログの初投稿はとても刺激的なものでしたが、そこからすぐに月 75 本の投稿へと拡大はしませんでした。大抵の物事と同様、トップダウン式の命令ではなく有機的に発展を遂げ、徐々に拡大していきました。当社の 2 番目のブログはもっと内容の濃いものでした。不人気度が高まっていたチーム全体のミーティングを、「Share It」というブログに置き換えることができました:

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「Share It」は製品開発チームであらゆることを共有するために使われています。チーム動向、主要技術アップグレード、チームのベストプラクティス、当社独自ブログの統計に関することまで、あらゆる情報が投稿されています。投稿は数行の文章から詳細情報を記載した長文記事まで多様です。このブログは現在でも当社で最もアクティブなブログです。2015 年には当社の 786 本の投稿のうち 169 本 (22%) を占めました。最も重要なことは、当社ではこのブログを利用して他の新しいブログを通知し、新しいブログを発見してもらっている点です。

「Share It」からすぐに、共有したい情報をたくさん持つチーム向けのチーム専用ブログが分離しました。独自ブログを最初に開始したのがアーキテクチャチームと DevOps チームでした。その後すぐ、ほぼすべての開発チームが独自ブログを開始しました。

重大な分岐点

2015 年は当社にとって重大な年でした。5 月に MasterCard に買収され、これが多くの点で重大な分岐点となりました。大規模な組織変革と共に会社全体で情報への渇望が起こり、メールでは十分に対応できないことが分かりました。統合に関する情報を共有するためのブログを設け、そこで会社全体に関係する幹部らからの初投稿が掲載されました。幹部らの投稿により認知度がすぐに高まり、下記グラフから分かるようにそこからブログ投稿に火がつきました。

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開発部門から社内の他部門へ拡大

現在、APT のほぼすべての業務にアクティブなブログが存在します。現在も製品開発部門がブログを大幅に先導してはいますが、大きな推進力が存在します。IT 部門は社内ソフトウェアのアップデート、役立つトラブルシューティング、ハウツーに関してブログ投稿しています。HR 部門は新規採用や福利厚生のアップデートに関して頻繁に投稿しています。マーケティング部門は APT に関するニュース報道と顧客の事例研究の情報を共有し、セールス部門は社内全体で祝福できる大きな業績や新規顧客獲得に関する新情報を投稿しています。

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Confluence を利用して社内ブログを実行するためのアドバイス 7 つ

ここまでは私の経験をお話ししましたが、ここからはあなたの会社で実践するためのいくつかのアイデアを紹介します:

1. 初期エヴァンジェリストを見つける

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おめでとうございます! 本稿を読んでいるということは、おそらくあなたは初期エヴァンジェリストでしょう。チーム コラボレーションの目標を推進する人物を 1 人、できれば複数名抱えることは、最も重要な成功要因の 1 つです。社内食堂や通路で交わされている興味深い話に耳を傾け、その話題をブログに投稿するように働きかけましょう。ブログを推進するために初期コンテンツを投稿しましょう。投稿数が少ない場合は、さらに記事を投稿しましょう。

2. 書き手を増やす

何か新しいことを始めるのは難しいこともありますので、新しいことを始めた人々を支援しましょう。新規投稿を目にしたら関心を示しましょう。「いいね!」のクリックや高い関心を示したコメントは、人々が書き続けるのを促進するのにとても効果があります。ブログのハウツーに関する簡単なトレーニング セッションを実行するか、ブログでチュートリアル記事を投稿することもできます。Confluence ではブログをそれぞれウォッチできますので、他の人にもウォッチするように勧めましょう。そうすれば確実に進展に気付くことができ、新しいブログが発生した瞬間に奨励し続けることが可能です。

3. すべての問題を一気に解決しようと試みない

しばらくブログ投稿へのリンクをメールで知らせても問題ありません。すぐにブログをあらゆる問題への解決策となるように無理強いしないことです。ルールの押し付けは避けましょう。何か興味深い情報を書いた体系化されていない短文は、まったく投稿がないよりもましです。

4. 一貫性のある興味深いブログから始め、勢いを絶やさない

最も一般的な例が当社の「Share It」ブログでしょう。当社ではあらゆるものを「Share It」ブログに投稿しています。内容が多様過ぎる結果になるかもしれませんが、全員にブログについて考えてもらい続けるには必要不可欠な手段です。

5. 内容をより具体的な別のブログに分割する

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ブログをウォッチしている人は、内容の 70 〜 80% が興味深いものでない場合はウォッチを中止するでしょう。テーマ (技術、個別チーム、マーケティング、等) ごとにブログを分割しましょう。恐れずにブログのためだけに新規スペースを作成しましょう。ブログの発見を促進するため「今月の新ブログ」や「今月の人気ブログ投稿」などの月間投稿の作成を検討しましょう。

6. コンテンツが投稿されたことを知る方法を追加する

当社ではすべてのブログ投稿に Viewtracker (注:ページビュー数をカウントするアドオン) を自動追加しました。これは役に立ちますが、ほとんどの人は通知メールを読むだけで、クリックしてブログへ進まないので不十分です。そこで当社では MasterCard 統合ブログのような重要なブログについては、社員全員が購読するように設定しました。あまり頻繁に起こることではありませんが、このようにして全員にメールを読んでもらうことができます。

7. 幹部に参加してもらう

先に述べたように、トップレベルの幹部が投稿するとその影響力は絶大です。突如としてブログに大きな関心が向けられるようになり、ブログが情報共有手段として真面目に受け取められるようになります。大きな影響力を持つ人々に参加してもらうことは、その他の人々に参加する気を起こさせることにもなります。

ここまで APT でブログがどのように機能してきたのかを紹介しましたが、もちろんこれは会社ごとに異なると思います。あなたのチームでも同様のことを実行していますか? 下記コメント欄であなたの経験とアドバイスを是非お聞かせください。


Confluence が初めての方へ

今すぐ、どうすればチームや社内全体で利用しているメールを Confluence を利用したより効果的な知識共有手段と交換できるかご確認ください!

 

Confluence に関する詳細情報

 

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*本ブログは Atlassian Blogs の翻訳です。本文中の日時などは投稿当時のものですのでご了承ください。 *原文 : 2016 年 4 月 19 日 "How internal blogging with Confluence created a culture of knowledge sharing at APT"