(事例) ディーバ、分散型チームによるアジャイル開発

TwitterBaseball.png* 2010 年 8 月 30 日 Sean Osawa投稿

 

本日は株式会社ディーバ
商品開発本部シニアディレクター 中村研二 様とマネージャー 小林達 様にお話を伺います。中村様は Comcast
などの米国企業での勤務経験を活かし、アジャイル開発の手法をプロジェクトに活用されています。現在は期間限定で東京オフィスにて勤務されています。小林
様は日本側チームをまとめるとともに、米国チームとの橋渡しもされています。(写真の左から中村様、小林様)

貴社の業務内容を教えてください

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連結会計のパッケージソフトウェアを開発し、販売・サポートなどを行っています。設立は 1997 年で、従業員数は 232 名 (連結) です。全体の 2、3 割程度が開発者です。

現在行っているプロジェクトの開発拠点は、東京とサンフランシスコ (米国カリフォルニア州) の計 2
箇所です。開発中の製品は日本語、英語を含め多言語対応をしています。連結会計パッケージという製品の特性上、ユーザーが日本だけではなく世界に広く存在
するためです。開発メンバーも日本人だけではなく、北米、アジア出身のエンジニアらとの混成になっており、国際的なチーム編成になっています。会議やツー
ル上でのコミュニケーションには英語を用いています。

アジャイル開発を実践されているのですね?

はい。良い製品を開発するために必要な方法だと考えて実践しています。たとえば、サンフランシスコのチームと共に、スタンドアップミーティングを毎
朝 30
分程度実施しています。タスク毎に作成したバーチャルインデックスカードを用いて見積りや計画なども恒常的に行っています。アジャイル開発の手法は会社ご
とや開発チームごとに適するものが異なるので、合ったものを選ぶことが重要だと思います。

どのアトラシアン製品をお使いですか?

JIRA + GreenHopper、Confluence + Office Connector (Confluence 2.10 以降では標準バンドル) です。Confluence は 2 年前から開発チームにおける情報共有、ドキュメンテーション等に使用しています。

JIRA
は 1
年前からタスク管理とバグ管理に使用しています。当初は主にタスク管理に使用していましたが、だんだんとバグのチケットも増えてきました。タスクとバグの
境界線を明確にひくのは難しいと考えています。タスクとバグは課題のタイプで分けていますが、同じプロジェクトキーを使用し一元管理しています。

GreenHopper
は導入当初に想定していたよりも使いやすく、とても気に入っています。ユーザーインターフェースが良く出来ており、タスクの状況が分かりやすく視覚的に把
握できます。リリースの操作なども JIRA で行うよりも GreenHopper で行う方が簡単です。課題 (タスクやバグ) の入力は JIRA
で行っていますが、管理には GreenHopper のインターフェースを使用することが多いです。

タスク管理はポスト・イットなどに書き込んで行う方法もありますが、日米に分散したチームでは GreenHopper
のようにオンラインで操作できるツールが必須です。また多国籍なチームなので、会話だけではなくツールに入力することによりコミュニケーションのミスを減
らせるというメリットもあります。各課題にスクリーンショットの添付などが簡単に行える点も便利です。

導入の経緯を教えてください

以前から参加していたオープンソースプロジェクトで JIRA、Confluence
が使われており、それらの操作に慣れていたということが一番の理由です。昔から使っています。個人的には Trac もかなり好きなのですが、JIRA +
GreenHopper と比較するとタスク管理が難しいのです。Trac はワークフロー機能、検索機能、セキュリティ機能が少し弱いと感じました。

ただし Trac については現在も Subversion のソースコードブラウザーとして使用しています。その他のツールとしては、継続的インテグレーションサーバーには Hudson、コードカバレッジ解析には Cobertura を使っています。

プラグインやマクロなどをお使いですか?

ProjectPivotReport.png

JIRA については、時間管理のプラグイン
入れています。先日、アトラシアンユーザー会に参加した時に教えてもらいました。各タスクやストーリーにどれぐらいの時間を使っているのか把握できる点が
良いです。作業に実際に要した時間を集計し、当初の見積りに対する超過率などを算出し次回の見積りにいかしています。プロジェクトの進捗管理の一環として欠かせません。(写真) また、Subversion と連係させるプラグインも使用しています。検索が速く、ショートカットも充実しているので JIRA
クライアントも愛用しています。

Confluence の方は、カレンダープラグインGliffy プラグインNumbered Heading プラグインなどをインストールしています。また、Wiki ページに日本語と英語を並列表記し、Visibility プラグインを用いて、LDAP に登録されているメンバーの言語選択を基に不要な言語を非表示にする、といったこともしています。

困っていることはありますか?

タイムゾーンの設定が 1 つしかできない点です。現在は西海岸の時間帯に合わせています。複数のタイムゾーンを設定することができると便利なのですが、、、。

アトラシアンに対してのご要望は?

Confluence には開発プロセスともっと密接に使えるような機能があるといいなと思います。たとえば、FitNesseGreenPepper
のように Executable specification (実行可能な仕様書)
に対応した機能が標準実装されているとうれしいです。それから自動翻訳エンジンを組み込み、コンテンツを自動的に多言語で表示するような機能があるといい
ですね。また、プラグインを作成するなどして、Confluence の BI (ビジネスインテリジェンス) はもっと活用されてもいいと思います。

今後のご予定は?

バージョンをアップグレードしたいと考えています。プラグインやマクロを再インストールする必要があるという点がネックでしたが、最近リリースされたユニバーサルプラグインマネージャーを活用することにより、作業の負担を軽減できそうです。

 

ディーバ 中村様、小林様、ありがとうございました!

 

 

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